親知らずを抜くのに手間取った話

 今日、左上の親知らずをぶっこ抜きました。

 先月も右上のものを抜いたのですが、今日はその時より時間がかかったので、一応記録に残しておきます。

 

 まず、なぜ抜こうと思ったのかという話ですが、去年の11月ごろまでさかのぼります。

 朝起きてトイレに行き、朝食をいただきます。その日は確かトーストだったと思います。

 トーストを食べようと思って口を開いた瞬間、右頬が異常に痛むではありませんか。

 これはどうしたことだろうと思って、口の開閉や頬の外側・内側を触って調査してみました。

 それによるとどうやら右上の親知らずが外側へ伸びているらしく、口を開閉するたびに頬骨と干渉、こすれてしまい痛みが発生しているようなのです。

 さて、困りました。食事どころか会話するたびに痛むのでは人生苦しいだけです。早速行きつけの歯科に連絡を取りました。

 幸いすぐに診てもらえることになったのですが、やっぱり親知らずが悪さをしているという診断で、その日中にぶっこ抜くことも勧められましたが、抜歯なんて小学生の頃以来なので恐怖心がそれを拒みました。

 その日はとりあえず飛び出ている部分をドリルで軽く削って干渉しないようにし、抜くのは12月上旬ということになりました。

 

 そして、来る12月上旬に再び歯医者へ。局所麻酔で右上の歯茎の感覚がなくなっていきます。右の頬と舌がじーんと麻痺している感じです。

 抜歯はすごく簡単でした。ガリガリという音が果たして何をしているために起きているのかは想像するしかありませんが、カップラーメンができるより短くあっさり終わりました。

私(なんかガリガリいってんなぁ)

先生「抜けましたよ」

私「えっ、もうですか!?」

 と上体を勢いよく起こして怒られました。

 とにかく、右上の抜歯が終わったので一安心……と思っていたら先生がおっしゃいました。

先生「右上は終わったけど、左上の親知らずも虫歯が酷いから早いうちに抜いちゃった方がいいよ」

 親知らずは奥の方にあり、また歯茎などで隠れてしまいうまく磨けないことが多いらしいのです。そのため虫歯になりやすいんだとか。

 そんな虫歯を放置しておきたくないので、右上の親知らずの跡が治ってから再度抜くことにしました。

 

 そして、その日が今日だったわけです。

 右上がほんのわずかな時間で抜けたので、私は油断していました。今日もすぐに終わって家で安静にしていれば大丈夫であろうと。

 しかし、それは大きな間違いでした。

 ガリガリという音は相変わらず聞こえたのですが、なかなか終わったという報告を聞けません。聞こえてくるのといえば、流れてくる血をすいとるドレーンの音と、先生の「おかしいな……」という声です。

 最初は先生と助手のふたりで作業をしていたのですが、そのうち何人か集まってきました。実際に周りを見られたわけではないのですが、雰囲気というか、そういう圧がありました。

 体感で10分、20分……そして30分と過ぎても全然終わりません。

 その間、先生は左右を行き来し、なんとか抜けないかと執拗に器具を動かしていました。器具の可動域を確保するために頬を引っ張られます。

 それでも歯は抜けません。院長もやってきます。院長が代わりに引っこ抜きます。しかし、やっぱり抜けせん。

 そのうち、麻酔がどんどん切れてきて、先生方がなんとか抜こうと左右に動かすたびに神経に直接何かが触れているかのような鋭く激しい痛みが襲い掛かります。

 そのうち、院長がどこかへ電話している声が聞こえてきました。

 そして、シートが上体を持ち上げます。

 終わったのか? と思った私に告げられたのは、こういう話でした。

院長「歯の根っこが歯茎の中に引っかかっていて抜けない。

   近くの口腔外科の先生に話は通してあるから、そっちで抜いてきてもらって」

 痛み止めの薬だけもらって、すぐに口腔外科に行きました。唯一の問題は自転車でその病院に行っていたため、左上の親知らずが抜けかかったままの状態でその口腔外科がある総合病院に行かなければならないということです。

 血の味に耐えながらなんとか口腔外科へ。

 すぐに追加の麻酔がぶち込まれ(麻酔が切れかかっているのでこの時の注射もまあまあ痛かった)、麻酔がきいてきたあたりで抜歯。今度はあっさり抜けました。

 その歯を見てみると、おぞましい姿をしていました。

 通常、歯と言えば噛む部分が大きく、中腹から根っこにかけては細くなっています。しかし、私の左上の親知らずはそうではありませんでした。

 一言で言えば、台形です。先生をして「これだけ根が太く外に広がっているのは珍しい」という話です。

 ついでに、虫歯の進行がひどく中腹に内部構造が見えるほどの大きな穴が開いていました。

 その後、化膿を抑える薬と痛み止めを処方してもらいました。

 

 左上の親知らずの抜歯を試みてから処方までになんと2時間以上かかりました。途中の病院の移動は10分前後なので、麻酔から歯を抜くまでに2時間ほどかかった計算になります。

 インターネット上では、上の親知らずを抜くのはそこまで辛いことではない、という記述がいくつかあります。あるいは大抵下の歯のみの紹介です。

 しかし、現実には上の歯でも歯の形によってはじゅうぶんに辛いのです。

 つまり、インターネットをうのみにしないでちゃんと先生と相談しましょうってことですね(クソ雑な〆)。